それは、小さな街の小さな恋。



あはは、と笑いながらおじさんの背中を目で追うおばさんもやっぱり嬉しそうで。


なんだか少し複雑な気持ちになっていると、いきなり視界の中に黒い物体が向かってきた。


「わ、ちょっと!」


とっさに出した手は、なんとかソレを握っていた。

びっくりした。ていうか私、反射神経よすぎない?


手の中を確認すると、そこにあったのは黒いスマホ。


これって、確か俊ちゃんのだ。


ハッとして前を見ると、5メートルほど先にユニホーム姿の俊ちゃんが立ってこちらを見ていた。


もう。慌てて受け止めたから、持っていた日傘落としちゃったじゃないか。

油断した一瞬の隙に日焼けってしちゃうもんなんだよ。


それに、もし私が受け止めきれずに落としてヒビが入ったらどうするの。