それは、小さな街の小さな恋。



門まで引き摺られると、さすがに諦めたらしい俊ちゃんは渋々といった足取りでおじちゃんに連れて行かれた。


呆気にとられ玄関で立ち尽くしていた私は、小さくなっていく疲れ果てた背中に軽く手を合わせる。


哀れ、俊ちゃん。


しかし、実は俊ちゃんは小学校から高校までずっと野球をしていた生粋の野球少年だ。


私もよく、お父さんや初子ばあちゃんと試合に行ったな。


久しぶりの俊ちゃんのユニホーム姿、見たい。


私も急いで観戦の準備しよう。


中途半端になってしまったが掃除道具を片し、着替えると全身に日焼け止めを塗りたくる。


いくら秋の匂いがし始めたからといって、まだまだ気を抜けない。


完全防備しなくっちゃ。