藍色の風月



藍はいきなりのピンチに焦りを覚えた




「そこにいるのは誰だ!!!!!」



郡武の鋭い声が響きわたる




どうしよう……なんとかしなきゃ!




するとモモがピンチを切り抜ける言葉を小さな声で藍に伝える




「この状況じゃ今使うしかないわね…!仕方ないわ!サーリオルフィーネって唱えて!」
 



「サーリオルフィーネ」



藍が静かに唱えると、郡武の足跡が既に藍を見つけられるどころか、捕まえられる距離にいる



急いで走って隠れようと試みるが周りに隠れられる場所もない



とうとう郡武に見つかった…!!!と……藍は思ったのもつかの間、郡武は言った




「あ……あれ…おかしいな?確かに居たはずなんだがどうしたものか…?」




え………???明らかに見える位置にいるのに、郡武の目は藍を捉えておらず視線が空を切っている




私、もしかして今透明になってる…???




藍は自分の手を開いてみてみると、確かに手が透けていて、下に敷かれた絨毯が見えた



藍は自分が透明なことを確認すると、静かに郡武からすぐに離れようと早足で四階の廊下を駆け抜けた




問題の部屋の前にやっとたどり着いた藍は、モモに言った



「透明になれるなら、最初から透明になってから入っ
ていれば、堂々と玄関から行けた気がするよね」





すかさずモモが反論した



「それは無理なのよ…この能力は時間的に制限があるのに加えて、1日一度しか使えないのよ…!」



「ふ~ん…!!!それで、この能力ってどの程度もつのかな??」



「そうね……もって5分から10分ね…!」



透明能力が、考えて使わないといけないといけないとわかったところで、ここ周辺の空気が違うのに気づく



藍は深呼吸して、重いドアをゆっくりと開いた