-プロロ-グ-

暗くて先がない道をひたすら走る




「はぁ…はあ…はぁっはぁ…」




私の手を引いて前を走る大きな背中が見えるが、顔は前を見ていてわからない。




後ろからはおびただしい数の邪鬼が迫ってきている。




「どうよう…このままじゃ…」




私は恐怖で涙ぐみ震える声で叫んだ。




手の指に力が入り、私の手を引いてくれるこの大きな手を、強く握りしめた。




すると、恐怖を察したのか、この大きな手が私の手を力強く握り返してくる。




『大丈夫だ…』




語らずともそう言っている様な気がした。