後悔がないと 彼はいった。 じゃあ どうして死んだの? どうして? どうして? どうして…? ふと 気がつくと彼が私の前にいた。 そして 私を見下ろしている。 何も言わず 見つめてくる。 聞きたいことは 山ほどあるはずなのに 私も黙って彼を見返していた。 とうとう私は 堪えきれなくなって一滴 涙だけ落ちてしまった。 そのときだった。 彼は私を見て言った。 (僕はそういう人間だったんだ)