天狗に愛されて



〈お師匠様ー!
いつまでそうしてる気ですか!?〉


〈うるさい、チビ助。〉


鵺が居なくなってから
オレはこの世の平和について考えていた。


そもそもこの世の平和ってのは
誰の為にある。

妖の為か?それとも人間の為にあるのか。


〈こんな事の為にお前は消えたのかヨ…。〉


ピクッ…


呆然と森を見渡していたら風が報せる。


〈あ、お師匠様…何か聞こえます。〉


聞こえるのは小さい産声。

哀れな同胞がこの世に産まれ堕ちた。