天狗に愛されて



〈天狗よ。
お主はこの山…この世の均衡を保つ存在。

如何なる事があろうと心乱してはならんぞ。〉


〈…分かってるヨ。〉


なぁ、鵺。

お前がオレみたいに人間嫌いだったら
あんな事にならなかったのに。

当たり前の様につまらない時間を過ごせたのに。


ザワザワ…


〈…なんだ、この風。〉


〈お師匠様!
この近くで禍々しい妖がッ!!〉


お前を失う事は無かったのに。