天狗に愛されて



〈人間なんかのどこが良いのサ。〉


〈お主はヤケに人間を毛嫌いする。

邪な事で妖を利用する輩も居るが、
その反面清い心を持つ人間も居るのに。〉


分かってる。

実際、神社で祀られる神は
人間の信仰心によって生み出された。


〈…いーや、同じ人間には変わりない。〉


風に乗って聞こえる人間の声。


少しでも人間にとって都合が悪くなれば
人間は「無慈悲」だと神を責める。

つまらない理由で葬られた神は
聞こえない、視えない人間に泣いて叫ぶんダ。


〈愛したのに〉〈幸せを願ったのに〉と。