天狗に愛されて



永い時を生きる妖にとってこの世は
退屈なものだった。

でも、誰もが平和を望んでいる。


〈天狗よ。
また我と力比べをしようではないか!〉


〈アンタも飽きないネー!〉


この世の平和を守る為にオレは北山の守護を、
鵺(ぬえ)は北山に住む妖で俺の戦友。


退屈な毎日を楽しむ為に
オレ達は力が弱らないよう力を高め合った。


〈お主はやはり強いな!〉


〈強くなきゃ四方の一つを守れねぇーヨ!〉


鵺がオレと違ったのは
人間を愛しく想っていた事だった。