天狗side


ジュー…


そろそろ限界っぽいな〜…。


雫が滴(したた)る度に浄化する。

妖は神水に近付くのさえ嫌うのに
それに浸かるなんて自殺行為だ。


〈そんじゃ、無知な若サマ。
譲葉は貰ってくヨ。〉


「待て!」


まだ何かあるのか、印を組み呪文を唱え出す。


「我に従うモノ。
姿を現し、彼のものを捕らえよ!

其の名は『天狗』!!」


オレに何体もの妖が向かって来る。


バチンッ!!


けど、触れる前に妖は弾き返された。


〈…へぇ〜?一丁前に妖を使役してるんだ。

でも、残念だネ。
オレに『名縛り』の術類は効かない。〉


「妖に術が効かない…?
まさか、お前『名持ち』なのか!?」


驚き顔をもう少し拝みたい所だけど、
そろそろここを離れるか。