天狗に愛されて



「譲葉!」


俺に気付いた天狗がゆっくりこっちを見る。


〈…なーんだ、若サマ。
ここへは何しに来たんだい?〉


「譲葉を返せ…。
連れ戻す為にここに来たんだ!」


〈連れ帰ってどうする?

今度こそ封印するつもりなら
オレも黙っちゃいないヨ。〉


ゾクッ…


今頃になって気付いた。

さっきは目の前の譲葉の事しか
考えてなかったが、この天狗…妖気がデカ過ぎる。

こんな大妖がまだ居たのか!?