天狗に愛されて



塞side


「譲葉!譲葉ー!!」


一度だけ譲葉が
『神隠しの森』に入るのを見た事があった。

屋敷に居なかった時は
大抵そこに居る様だったから確信も持たず
山の斜面をかけ登った。

登った先には滝と泉がある開けた場所。


「譲葉!居るんだろ!?」


ドンッ!


叫んだ瞬間、泉から水柱が立った。

飛び散る水を拭って見ると、
譲葉を抱える緋翼の天狗を目に捉えた。