天狗に愛されて



「大人しくその妖を引き渡しなさい。
庇うのなら祓い屋全てを敵に回すのだぞ!」


「実の娘を命欲しさに差し出す母が
どこに居ると言うのでしょうか?

…ハァ……変わらないのね。

この世が妖に支配されずに済んだのは
人と妖が一つになったからだと言うのに…。」


人と妖が一つに…?


「残念だわ…。」


ゴオッ!


『!?』


突然、強い風が身体を包み込む。


「弥勒ッ!!」


風の隙間から見えた男の顔は
とても苦しそうだった。