天狗に愛されて



「当主直々の依頼だ。」


『当主が?
……なら自分で言いに来なさいよね。
親も親なら子も子ね。』


この神木家当主は屋敷の籠り部屋に篭ってる。
なんでもそこから結界を張り続ける為らしい。

だから、一度も見た記憶が無いんだよね。
知ってるのは塞の父親って事だけ。


「当主と話せんのは血縁者だけ、
しょーがねぇーだろ。」


『はいはい、で?
その妖の出没する場所は特定されてるの?』


「バラバラだ。
でも、角羅山の周りで現れるから
その山のどっかに根城があるんだろ。」


山……いやいやいや、範囲広過ぎでしょ!
どんだけ探し回んなきゃいけないの!?


〈角羅山……確か霊山じゃないのカイ?〉


『え!?そうなの??』


霊山ってのは悪質な妖が立ち寄れない山の事ね。