「セシル、ほんと今日は元気ないね」 隣の席の直子も、心配そうに言った。 「そう?」 なんとなく誰とも話したくない気分で、セシルは曖昧に答えた。 そして、それからは、ぼーっと窓の外を見ていた。 直子はそんなセシルを気遣ってか、それ以上話しかけなかった。 渋滞することもなく、すんなりバスはシャルル・ド・ゴール空港に到着。 ツアーのみんなは、それぞれドライバーにお礼を言ってバスを降りた。