「じゃあ、ほんとはいくつなんですか」 「今年、誕生日が来たら大台に乗るんだよな」 「え〜? 四十九?」 思わず、セシルと直子はハモってしまった。そして、慌てて付け加えた。 「見えないですよ〜、言われなければ、絶対」 「ほんと、びっくり」 自分たちより五歳くらい上だとばかり思っていたら、十五も上だとわかり、ふたりはかなり驚いた。 仕事柄なのか、フットワークも軽いし、からだも引き締まっているようだし、とてももうすぐ五十歳だなんて信じられなかった。