理貴との付き合いは小学生の頃からだ。
その後、理貴がアメリカに行くと言い出したので、辛気臭い家を飛び出したくて理貴にくっついてアメリカに渡った。
そこで、コンピュータと出会った。
以来、いろんなことをやってきたけど、まず、コンピュータで何ができるかってことから考える。
来栖は、ちょうど寝室から出てきた理貴におはようと声をかけた。
ちょうどよかった。理貴はまだ、眠そうだ。早速、話を切り出す。
「コンピュータを買いたい?」
「ああ」
「そんなもん、勝手にすればいいだろ」
珍しく、投げやりに言う。
「一応、許可取っておこうと思って」
うわっ、余計なこと言った。許可取ってすぐに帰ればよかった。
「ちょっと待って。なんで許可なんか取ろうと思った?」
そんなの、後で揉めるに決まってるだろ。
「だから、一応聞いてみただけだって」
来栖は理貴よりも背が高い。理貴は見上げてくるけれど、それでも十分に迫力がある。
「どんなコンピューターだ?」
「小型の液浸冷却で、恐ろしく性能がいいんだ」
「高価なのか?」
「高価は高価だけど、性能に比べれば何でもない」
「消費電力は?」
「格段に低いよ」
同クラスのものに比べればね。
「わかった。ちゃんと書類書けよ」
「ああ」
「液浸冷却って、水の中にでも入ってるのか?」
「まさか。そんなわけないよ」水じゃなくて、フッ素系不活性液体だけど。