「早速ケンカになっちゃったんだ」と沙希ちゃん。

「うん…」

「透の気持ちもわかるから、100%伊都に賛成できないけど、家の事情もあるなら、仕方ないんじゃない?」

「うん…ありがとう。沙希ちゃん。透に言うと自分もバイトするって言いかねないから」


「本当に一途だよね。彼」
沙希ちゃんが笑いながら言う。


「大事にしなきゃ」


「そうだね」


「それより、どうだった?仕事は?」
沙希ちゃんが話題を変える。

「すごかった…でも、みんな同じ、高校生だなんて思えなくて…」


「そう?」

「それで、制服のサンプルを着てビデオ撮ったんだけど、透が知ったら怒るだろうな…」


「何でそんなことになったの?」


「フランスの学校で制服を売り込むの。パンフレットだけじゃなくて、実際に着た感じがどうだったとか、リボンはどんな風にむすんだらいいとか、そんなの」


「楽しそうね。けど、それは言わないほうがいいかも」