「あー明日から、ちゃんとした飯にありつけるのか…」
とケンサク。


「仕方がないよ。今日、決まったばっかりだもんな。だから、今日はピザか寿司どっちでも好きな方を選ばせてやる」とユウ。

ケンサクは、自宅にいれば専属のシェフがいて、好きなものを食べられた。でも、会社にいるときは、宅配を頼むか自分で弁当を買って来なければならない。

たまに、外に食べに行くこともあるけれど、代表の理貴が、時間を惜しんで宅配かサンドウィッチをつまんでる。

そんな理貴の横で、豪華な食事をするわけにいかない。

よく考えたら、自分は、ほとんどの時間を会社で過ごしているではないか。

時間が長いから、ほぼ二食ここで食事をしている。


「で？今日は…ピザor寿司どっちにするの？」
葵が尋ねる。


「どっちでもいいやー」
ケンサクは面倒くさそうにいう。


伊都が近づいて来ていった。
「あの、カレーライスくらいなら、すぐに作りましょうか？」


「本当？」葵の目が輝いた。


「カレーって、アニメに出てくるやつ？」とケンサク。



「ああ、そうだよ。日本の子供は給食でよくカレーを食べる」
ユウが説明する。



「食べてみたい…」
葵が夢見るようにいう。



「今から準備すれば、夕飯に間に合いますから。作りましょうか？」
伊都がもう、キッチンに移動して、冷蔵庫やシンクの下を確認してる。



「いいんですか？」
理貴がリビングから、キッチンに入って来て、申し訳なさそうにいう。


「もちろん」伊都が満面の笑みで応える。



「じゃあ、それまでにフランスの件を何とかしよう」と理貴。


理貴が嬉しそうに、フランス語で捲し立てる。


葵が、たまに使わないと忘れるんだよねとそれに答える。


室内に同時にフランス語が飛びかった。


「頼むからここに居るときは、日本語でいいだろう？」
ユウが叫ぶ。