嬉しそうな顔が、不安そうな曇った顔になる。
「えっ?あなたが?」
彼女が上から下まで確認する。僕のこと疑ってるの?
「さあ、行きましょう」
ちゃんとケイゴで答えたでしょ?
「ちょっと待って…会社の人って?もしかして…あなた?」
牧瀬さんが、驚いて立ち止まった。
「そうですけど」
牧瀬さんが、じぃっと見つめてくる。
「だって、どう見ても…中学生」
「えっ?中学生?」
ケンサクは、ムッとして、相手をにらみつける。
葵さんに何言われても顔に出すなと言われてるけど、中学生は怒っていいよね。
「中学生じゃありません。高校生です」
「もしかして、1年生?」
牧瀬さんの顔が、ゆるみ笑いかけてくる。
「1年だから、どうだっていうの?」
ケンサクは、中学生と言われて、まだ機嫌が直らない。
「同じだっていいたかったの。まあ、いいわ。会社の上の人に会えば、わかるから」
「じゃ行くよ」
偉い人って言っても、自分とたった1つしか違わないのに。とケンサクは思った。


