ハイスクール・カンパニー


「全部でどのくらい、数字が取れそうだ?」

理貴が聞く。

やれやれと、理貴が疲れきった顔で聞く。

理貴の疲れっぷりに、隣で見ていたユウも気付いた。

葵が、新しいビジネスを始める分、裏で調整をしている理貴に負担がかかる。


「理貴?制服の案件、聞いてないけど?」

たまりかねてユウが口を挟む。


あれ?どうして、制服を売り出すことになってるんだ?



この間、制服の案件が出る前、ほんの数週間前まで、日本に外国の高校生を修学旅行を呼ぼうっていう企画を立てた。葵が中心になって、動いてるはずだ。

実際に、ツアーを組んで旅行をセッティングするのは、日本の旅行会社だけど、その前の企画段階で、海外の協力ボランティアにアンケート取ってもらって、それをもとに国内の旅行会社に行ってツアープラン考えてもらってるはずだったよな。とユウは思った。


「ああ…そっちも、同時進行中だ」


「何だって?理貴、そんなに同時にこなすのは、無理だろ?」
例のごとく、資金的な問題、保険、多くのことが理貴の仕事になってる。

ユウは、理貴の体を心配した。
理貴が、なにも好き好んで早起きしてるわけじゃない。



「修学旅行の件は、規模が大きくて、なかなか前に進まない。それが動き出す前に別件をやってもいいかなと思って」


「理貴、ただでさえ、スケジュールきついだろ?無理するな」

他のメンバーがどんなに、忙しく走り回ろうと、理貴のフォローがないと会社は動かない。


アイディアをどの会社に製品にしてもらうか、どんな風に売り込むか出来上がったら、販路をどうするか。

スクールカンパニー社の運営は、そのほとんどを実質、理貴が行っている。

ユウは、理貴の補佐をしていて、それがよくわかっている。