ほとんどきれいに無くなった皿を見て、伊都が満足そうに頷くと、弟達がいっせいに片づけを始める。
その様子も見ていて面白かった。
あっという間にテーブルが片付けられて、弟達がそれぞれの勉強道具を持ってきた。
彼らは、さっきまでしゃべっていたケンサクのことなんか無視して、勝手に勉強を始めた。
「ちょっと待って、今日はケンサクさんがいるから、みんなでゲームをやろう!!まずは小学生の部から相手は海ね」
「このお兄ちゃんは、半年前から日本語を勉強し始めたのよ。
「うそ…学校のアンジー先生なんて、三年たつけどまだちゃんと話せないよ」
「そんなにすごいお兄ちゃんでも、海と同じように漢字が苦手なんですって。今から、一時間あげるから、この漢字ドリルで勝負しよう」
「何だよそれ!!」ケンサクが叫ぶ。
「文句言わないの。ドリルは沢山買ってあるから。さあ、やるよ」
「ちょっと待って、何もしないんじゃつまらない。これ、伊都に貸してもらっていいなと思って買ってきた。ゲームに勝ったらあげるよ」
「えっなに?DS?残念ながらそうじゃない。電子辞書だよ」
「海、がんばれ」
伊都が真面目な顔をする。
「うん」
「じゃ、スタート!!」


