「どうしたの?これ」ケンサクは、少年の質問をすっかり忘れて、テーブルに並んだ料理に目を奪われていて驚いた。
「ケンサク君、お昼ご飯まだだよね?」
「ああ、そうだけど」
伊都が、早く席に着きなさいと、弟たちに向かって命令してる。
そっか、こいつ、いつもこんなんだから会社でも偉そうにしてるんだ。ケンサクは伊都を見てそう思った。
「じゃあ、とりあえず食事してからね。全員手は洗った?」
弟二人が小さくはいっと答える。
ケンサクは可笑しくなった。会社でも同じようにメンバーを仕切っているじゃないか。
そういえば、会社でも伊都が作ってくれる食事は、ケンサクも楽しみにしていた。
中でも、カレーライスは大好きで、何度もリクエストしてる。
今日は、いろんなおかずが並んでる。


