「校門にモデルみたいな人がいる」

授業の終わりを告げるチャイムが鳴ったころから、周囲が騒がしくなっていた。

掃除をしている間も、騒ぎが収まらず、掃除なんかそっちのけで校門の方に行ってみるって言う子が後を絶たなかった。


「どっかのバンドの人?」

「あんな人知ってる?」

「サングラス掛けてるからわかんない」

伊都は、教室の隅で、そんなふうに噂してる子の横を通り過ぎて行った。

「沙希ちゃん、お待たせ」

放課後、掃除を終え伊都は、沙希と帰るところだった。

門のところを見ようと、校舎の出入り口にも人だかりができていたのを、二人とも気づかなかった。