「言いたいことがあれば、言いなさい」
大きな弟に向かって、思いきって伊都が言った。
「いいよ。なにいっても俺たちのためなんだろ」
陸があきらめたように言う。
伊都は笑っていう。
「そうよ。可愛い弟二人のためなら、姉さんなんでもやるわ」
「ふざけんなよ。透さんいるのに、あんなことされても?」
陸に蔑むみたいに言われて、伊都は涙ぐんでいた。
陸がひるんだ。
「ごめん、言い過ぎた。悪かった。泣かないで」
「大丈夫…ごめん。でも、陸?お姉ちゃん理貴さんのすること嫌だから泣いたんじゃないの」
「あいつのこと好きなんだろ?だったら、透さんはどうなるの?もうどうでもよくなったの?」
「どうでも良くないよ。ちゃんと話しするよ。だから心配しないで、勉強のことだけ考えて」


