ああ、まだ5時半か……
理貴さん、もう起きてるんだろうな。
理貴のところへは、行かなくて済んだのに、同じ時間に目が覚めてしまった。
目が覚めたというより、眠れなかったのだ。
前に理貴にキスされたときは、力ずくで押し付けられた感情のこもってないキスだった。
あの時は、彼も熱にうなされて訳がわからなくなってただろうし、誰かと間違えた可能性だってある。
なのに、昨日はまるで違った。
理貴が、自分の存在を分からせようとするような、キス。
どうして、そんなことするんだろう。キスすることで、何か伝えようとするような、伊都のことを知ろうとするような、そんなキスだった。


