「理貴さん!!」 後ろから誰かに呼び止められた。 「由奈?」 呼び止めてきたのは、渡辺由奈。 理貴の母の姉の子供、つまり従妹だ。 伯母の差し金で、娘を理貴に近づけようとしている。 理貴は、そんなこと百も承知だった。 「ハイスクールカンパニーの件で…」 「悪いが、今忙しいんだ」 どうでもいいことほど、笑って対応するようにしている。 理貴がまるで取り合わないので、由奈はイラついていた。