ハイスクール・カンパニー

理貴が電話をして、マンションのロビーについた頃には、タクシーが一台待っていた。

伊都は、自分一人が乗ると思っていたので、理貴が一緒に乗り込んで来たときは少し驚いた。

実は、一人でタクシーに乗るのは、初めてなのでこんなところから、家までタクシーに乗ったら、いくらかかるのか気が気ではなかった。

理貴は伊都の横で、少し 疲れたような顔をしている。

「すみません。わざわざ送ってもらって…」

「いいよ。それより疲れただろう?」

「いえ。大丈夫です。

「夢中になってた分、疲れを感じないですから」

鞄の中の携帯が震えている。

ちょっと、すみませんと言って伊都が出る。
理貴は、また、ボーイブレンドかと窓の外を見た。

「陸?どうしたの?えっ……父さんの食事がない?どういうこと?海が食べた?うそ、どんだけ作ってったのよ。わかった。遅くなってごめんね。もうすぐ家に着くから、すぐに用意するね。
お父さんには、先に風呂に入ってもらって……うん。わかった。ごめんね。あんたは勉強してていいから…」

「これから、家のことをして寝るのは何時になる?」理貴がイラつきながら聞いた。

「2、3時間は…」

「冗談だろ?」

「やっぱり、無理してたんだ。朝はよく休むように。君は自分の心配しろ」