…まず、無い。無いだろう。
こいつが女の子にでれっとしてるとこなんか。想像できるか?
あったら結構ショックだ。
「あんまり学校行ってないしな」
多樹は、無表情で答える。
「まあ、そうか…そうだな」 沈黙…
銃の話でもしようか…こいつ実際に撃てるって聞いたけど。
カタログ上でのスペック比べなんて、鼻で笑われそう。
スパイ小説読むぐらいの知識しかないと笑われそう。
救いの電話か?
「あっ、悪い。ちょっと待って、電話だ。理貴から」
――もしもし、休みのとこ済まない。今、フランスから連絡があって、法務の件で葵がユウに判断を仰ぎたいそうだ。
「わかった。葵と話せばいい?すぐに電話するよ」
――いや。違う、ユウ。すぐ現地に行ってくれるか?結構人が集まって来て、人がさばけなくて収集付かないらしい。葵ひとりじゃ対応出来ないって。
「ええっ?今から来いって、外国だろ?しかもゴールデンウィークでしょ?チケット取れないよ」
――大丈夫。アメリカ時代の友人が、日本に来てて、これから、フランスまでジェットで向かうから、同乗させてくれるって。君と同じオタクだから話が合うよ。
「勘弁してくれ」
――それから、多樹と連絡つくか?
ああ、多分。なら一緒に行ってくれ。フランス語以外の言語の通訳がいないそうだ
「わかった。伝えとく…」
「いくぞ、ユウ」
「なんで聞かないうちからわかるんだよ」
ああ、楽しい休日が。


