二人の休日
「何で、俺たちこんなとこで二人で、飯食ってんだ?」
ユウは多樹を連れて、秋葉原の町を案内したところだ。
多樹は、オタク文化に興味があるわけではなく、社会勉強のために行ってみたいと誘われた。
「俺は、一応どこがいいかと聞いただけで、付き合ってくれっていったわけじゃないぞ」
多樹がすまなそうに言う。
多樹とは、理貴の会社に入ってから、知り合いになった。
メンバーでは、一番得体が知れないとユウは思った。
話しかけると、案外いいやつだ。
が、それも一瞬のことで、何かあると急に鷹のように厳しい目つきになる。
人に対して完全に心を開いたりしないんだろうなとユウは思う。
「いいよ。たまにはこうして、万世橋でハンバーグたべるのも」
多樹が顔をあげていう。
「お前、いいやつだな、ユウ」
「そんなんじゃないよ。多樹は日本に来て間もないだろ?」
「ああ」
理貴からは、同じころにメンバーに入らないかと声をかけられた。
「メンバー以外に親しい友人は出来たのか?」
「ユウ、お前、何か知りたいことでもあるのか?言えることなら教えてやるぞ」
「違うって、単なる一般論だよ。お前だって普通の高校生だろ?好きなこの一人や二人って」


