「海はどうして、こんなところで一人でいるの?」
友達と遊ぶのが、大好きで明るい性格の海が、
ポツンと一人でいるのが、寂しそうに見えた。

伊都が家にいるときは、海は、暗くなるまで外で遊んで、夕食の準備ができるまで宿題をやっていた。

「友達は、塾とか習い事があるから、今日は、誰とも遊べないんだ」

「だったら早く、家に帰ればいいのに…」

「お兄ちゃんが、勉強の邪魔だって」

「一緒に勉強すればいいのに」

「僕がいると、集中できないって」

「それで、外に?」

「海は、うなずいた」

「でも、透お兄ちゃんいるときは、
遊んでくれるから」

透が、散々忠告してくれてたのに、それを無視してしまった。

伊都は、気づいてあげられなかった申し訳なさから、海の手をぎゅっと握った。

「お姉ちゃんが、陸と話してみるから」

「うん」

陸は、めったにイライラしたりしない。伊都は不安になった。

母がいなくなったことでこうも影響が出てくるのだ。
伊都は海を抱きしめると、こらえきれずに涙ぐんでしまった。