「この時間でも帰ってないの?」
暗くなりかけている。
伊都は、近所を歩いて海を探した。

そう言えば、海が学校から帰ってから、いつも何をしてるのか伊都は知らない。

歩いていると、海と同じクラスの仲のいい男の子と会った。

「陵くん、海のこと知らない?」
男の子を捕まえて、聞いた。

「海のお姉ちゃん?」

「海、公園で遊んでたよ」

海の友達が言っていた、公園に行ってみた。海は一人で、ボールを蹴って遊んでいた。

一人ぼっちで遊ぶ海の姿を見て、悲しい気持ちになった。

伊都は自分の感情を海に悟られないように笑ってみせた。

「海!」

「お姉ちゃん!!」
伊都が声をかけると、海が走って来た。