郷太と歩いていると、すれ違う女の子たちが振り返るのを何度も感じた。
明らかに郷太を見てる。

そういえば、郷太って『軽そうなノリ』ってイメージになっちゃったけど、出会った時は、、机にぶつかりそうなところを受け止めてくれたり、人懐っこい笑顔にほっとしたり、足裏の手当てもしてくれたんだっけ。

軽いけど、誰にでも受け入れられそうだし、見た目も、、かなりもてるんじゃないかな?

訓練だけど、周りから見たら今のあたしたち、彼氏彼女に見えてるのかな、、

郷太の歩みはゆっくりになっていた。


あたしの妄想は膨らんでいた。


『潜入』、、もしそんなことになったら、、、

あたし、フリなんてできるのかな?

恋人役?

そんなの、割り切ってやれるものなのかな、、



一花の顔が浮かんだ。

、、、、一花も?




「七花。」



『あっ、』

慌てて意識を郷太に戻した。


「ここに座ってて。何か飲み物買ってくるから。」
樹の下のベンチに座らされ、向こうに見える移動販売の車に向かう郷太の背中を見送った。

「なんであたし・・・」

『一花の顔が浮かんだんだろう。』顔が熱いような気がした。