「さあ、そろそろ本当に帰らないと、心配するだろう。」
時間はすでに遅くなり、ママに帰ると伝えていた時間が近くなってきていた。
「あ、ほんとだ!」


ケーキの箱を提げ、一花が立ち上がった。
「行くぞ。」
「行くって・・」
目の下を拭いながら立ち上がる。
「家まで送る。
泣きはらした顔で、こんな時間にひとりでは帰せないだろう。」

平気だと思ったけど、今は一花が居てくれることでようやく気持ちがほっとできているのも確かで、あたしはその好意を受け取ることにした。
「ありがとう。」


家までの道を一緒に歩く。
ひとりだと足早に急ぐだけの道も、今はなんだか楽しい。


一花って見た目よりもほんとにあったかい。
ちゃんと見ててくれてる。

今日だって、どうしてあたしがあそこにいること知ってたんだろう。。
もしかしていつも家に帰るまで見ててくれてる、、、そんなわけないか。たまたまかな。

だけど、山での特訓も、厳しかったけど、ちゃんとあたしに合うようにメニューも考えてくれてたんだろうし、高熱で倒れたときだって、、

家がもうすぐそこに見えてきていた。

「あ、そういえば、」
思い出して声をあげた。