「なぁに?」

「おばあちゃま、どういうことなの?」

「どういうことって?、、、あたしも甘い物頂こうかしら、、」

「おばあちゃま。


体調不良で面会謝絶。突然の隠居宣言と会社経営をおじさんに譲渡するって話も、それに、あたしにまでこの、、お店を譲渡って、、

なのにおばあちゃまは今ここでこんなに元気そうなのに!

どういうことなの??元気なのに、何がどうして??」

とどめようとするおばあちゃまにも構わず、あたしは一気にまくし立てていた。一度開いた口は止まらなくなっていた。
ここで止めたら、きっとまたおばあちゃまに上手く丸め込まれてしまいそうな気もしてたからかもしれない。


からん、ころん。
大きく玄関のチャイムが響いた。

はっとして、あたしは口元に手をやった。
声、大きすぎだったかも。
今更になって顔が熱くなった。

テーブルに新しいカップが2つサービングされてきた。大きめの白いボールにたっぷりのカフェオレだった。やわらかい香りが広がる。

「ありがとう。」「ございます。」
おばあちゃまの声にあたしの声も重なった。

「ぷっ。」
「ふふ。やっぱりよく似てるわね、あたしたち。」

ふふ、と笑みが漏れた。
「やれやれ、希代香ちゃんには隠しておけそうにないわね。」
「え?隠す?」
「こんなにあたしによく似てるんですもの。
適当なことを言っても、きっと、本当かどうか確かめようとするわよね。、、あたしならそうするもの。」

独り言のようにつぶやくおばあちゃまにあたしはつぶやき返していた。
「適当なこと?確かめる?」