その後はおばあちゃまの矢継ぎ早な質問に答えつつ、コーヒーとケーキを堪能していた。

家族の話、彼はいるのかとか好きな人は、とか、大学生活はどうだ、とか。あたしも聞きたいことはあるのに、とりあえず久しぶりのおばあちゃまのこの笑顔に負けて、回答者役に回っていた。
コーヒーのおかわりまで頂いてしまう。

「そうかい。元気そうでよかったよ。」

「うん!ぁー、美味しかった!



、、って、」
あたしは席を立ちかけていたおばあちゃまの手をしっかりと握りしめた。
「おばあちゃま!今度はあたしの番だよね??」

「もう一杯いかがですか?」

いつの間にか、マスターだと思われるあの男の人があたしの傍に立っていた。
「今度はカフェオレでも?」

全く居る感じがしていなかったから、急に声を掛けられて悲鳴をあげそうになった。
いつの間に??

おばあちゃまが軽く手を上げると、その人はカウンターのほうへ離れていった。

びっくりした。。
ほっとして後ろ姿を見送った。

カチャリ、と陶器が重なる音がした。
コーヒーをひと口飲み、ふーっと息をついたおばあちゃまの丸眼鏡の奥の瞳が柔らかく光った気がした。