「今日はお客様が多そうですね。」
窓の外、勢い良く止められた車を見て六車はつぶやいた。店内の時計はまだ午前9時前だった。

「七花が起きたのね?どこ?」
扉を押し開けるや否や、グレーの髪のご婦人、頭首がずんずんカウンターへやって来た。
「上ね?」
頭首であり、祖母であるこの人を留める理由はなかった。例え七花が寝ていても。
「はい、そうです。また眠っていますが。」

孫の身体が心配な祖母はすぐさま階段を上がっていった。

「アメリカンを用意しておきましょうかね。」

六車は頭首の最近の気に入りのコーヒー豆を取り出した。