五日目、まだ冷たい早朝の空気の中、一花は木にぶら下がって今日の特訓メニューについて再び考えを巡らせていた。

一花の中で七花の評価は悪くはなかった。
体力も瞬発力も腕力も、鋭利さもないが、やると決めたことへの執着はすごかったからだ。だから、どんなきつい特訓でも、口ではへこたれたことを言っても、最後まで諦めないで挑んできていた。それがやり切れる、やり切れないは別にして。

一花は七花を特訓することにおもしろみを感じていた。

ーーーそろそろ起きてくる頃か?

一花は指だけでぶら下がっていたその手をぱっと離した。音も無く着地する。
軽く竹林での日課をこなし、最後はこうしてこれからの予定を確認する。

これも彼の日課と化した訓練だった。
『日々精進』先代の口癖を己にも実行していた。こんなことをしているのは仲間の中でも自分と次郎だけだろうと思われた。

先代の救出を思うと心がはやるが、今はまだ、次郎からの連絡を待っている段階だった。
ーーーまだだ、、


ログハウス目前まで来ると、玄関扉が内側から開かれた。
顔を出したのは郷太だった。