「少し、、羨ましいな。おじいちゃまのこと、たくさん知ってるみたいで。」
黒い艶っぽい瞳からゆっくり視線が降りてくる。
「あたしはおじいちゃまが行方不明になった時まだ4歳だったから、あまりいろいろは覚えてなくて。両親がしてくれた話や、写真を見てとか。だからおじいちゃまを思い出せる一花が羨ましい。」

「先代が戻ったら。」肩に手が載せられる。
「時間を取り戻せばいい。」
とん、とん、優しい音を立て、まるでなだめられているみたい。その音はすっと胸に染み入ってくるようだった。

「今度、次郎も紹介しよう。先代の話がたくさん聞けるだろう。」
優しい微笑みだった。