耳まで一気に熱くなった。

「赤いね?」ぴとっ、と手のひらがおでこに触れた。
「それくらいにしておけ。」

おでこから手が離れた。
「ぁー、もう帰ってきたの?いつも仕事が早いねー、おかえり。」

絶叫しそうだったあたしはなんとか叫びださずに済んだ。
ばくばくする心臓をなだめつつ声の方を見る。

「お前の仕事は済んだのか?足はどうだ?」
ひやりとした空気が入ってきた。外気が相当冷たいらしいのがわかる。
「一花さ、、ぁ、じゃない、、」

部屋に入るなり、包帯でぐるぐる巻きにされた足裏を見ている、大きな背中。

「、、一花、おかえりなさい。」
偽名だとは言われても、呼び捨てに抵抗があって、声が小さくなる。

「郷太の講義、成果があったらしいな。」
振り向いた口元が小さく笑ったように見えた。