「え、、ここに住んでるの?!」

「少し前までは住んでいた。
今は修行のためだけに使っている。」


ぶるっと寒気がした。
空には薄い月が青白く見えていた。

「寒いのか?」
あたしを抱えたまま、一花さんは再び歩き出した。
「すぐに着く、そのままでいろ。」
降りようとしたのを止められる。


「登山ひとつに予想以上に時間が掛かってしまった。初日からこれでは、、
明日からの訓練、覚悟しておけよ。」
ドキッとするほどの流し目に合い、また鼓動が速くなってしまう。


「訓練って、この山登りも訓練だったの?」

「体力をつけるためにな。」
「もしかして明日も山登り?」

「お前は体力が無さそうだ。」

登る自信がなくてがっくりとうなだれる。