どれくらい歩いただろう、、

いや、あたしが不慣れなだけで、

いくらも進んでいないのかもしれない。。


一花さんは背中に大きな荷物を背負っていた。

それでも後ろに続くあたしをときどき振り返りながら、前を行く。

世間話ができるような距離じゃないところが、

あたしをただ山登りにだけ追い詰めていく。。


うう、、、
おしゃべりくらいしてくれたらいいのに。

ぁぁ、、郷太くんだったら優しかったのかな、、、あの腕を掴めていたら、、、


「おい。」

また呼ばれる。


「希代香です。き、よ、、、かぁ。。。

あー。。。っ!」

急になってきていた傾斜に、ふくらはぎはぱんぱん、おしゃれなだけの靴はクッションがなく、足が悲鳴をあげていた。
あたしも悲鳴をあげ、痛さにぎゅっと目をつぶった。

小さくつぶやく声が聞こえた気がした。

「今、、あたしの名前呼んでくれた?」

顔を上げると超美形な一花さんの顔がすぐ近くまで、、


と思ったら、通り過ぎてそのままあたしの足元にうずくまった。

「ぁ、、な、、なに??」

ぐっと足首を掴まれ、悲鳴をあげていた。

「少し座ってみろ。」
見上げてくる目元がするどくてあたしは言われるままその場に座り込んだ。

「だいぶ足が痛いようだな。」
そっと触れられるだけなのに、足がずきん、と痛かった。

「山歩き、久しぶりだから。小さい頃、、ぶりかな、この山。」

「来たことがあるのか?」

「んー、麓だけだけどね。こんな中まで入ったことは、、痛っ。」
靴を脱がされると、靴下の所々が赤くにじんで見える。
こすれて血が出ているようだった。

靴下まで脱がされそうになって、慌てて一花さんの肩を掴んだ。
「やだやだやだっ、やめて!めくらないで!」
なんだか靴下を脱がされるのは恥ずかしい気がした。
こんな状況でだけど・・