希代香は自宅の前に立っていた。

カバンから鏡を取り出し、もう一度、チェックする。
『よし、腫れてない。』
少し残っている傷はコンシーラーで隠したので見えない。数日すれば完治するはず。

今回の誘拐から怪我のせいで、あたしはまた、突然の外泊を3日もしてしまっていた。
両親にはおばあちゃまの手配で『おばあちゃまの手伝いで店に泊まる』と連絡をしてくれていたらしい。だけど、顔が腫れたり傷なんてあったら、不審に思うよね。用心しないと、、

玄関の鍵を開けようとした時、ちょうど中から扉が開いた。
「あら!希代香ちゃん!」
ママだった。

泣き腫らしたように目が真っ赤だった。


「どうしたの?!」
「それはこっちのセリフよ、あなたどうして、、携帯も繋がらなくて、、まぁ、それはいいわ、おばあちゃまから聞いてたもの、お店は電波が届かないって。にしても、、ああ、それよりね、これからまた病院に行くところなのよ、よかったわ、今会えて!」

「またって?何?どういうこと?」

「おじいちゃまが見つかったのよ!」

「・・!」

「びっくりしたでしょ?あなたのおじいちゃまよ!パパもママもこの2日病院に居て、ついさっき着替えに戻ったところだったのよ。それで今からまた病院に行くところだったの。希代香ちゃんも一緒にーーー」

「行く!」

私はママよりも早くタクシーを掴まえ、一緒に乗り込んだ。
おじいちゃまに会える。

どきどきが止まらなかった。