「一!待て、俺も行く!」

振り向きもせず前を行く一花。

くそっ、速ぇっ、、!


日頃の鍛錬不足を痛感させられる。

前を行く背中がどんどん離れていく。



角を曲がった。


必死で追う。


また曲がった。



なんだ?まるで迷いがない。
知ってる場所なのか?


ふと疑問が沸いた。


なんで、そんなに必死なんだ?

仕事だろ?


いつも冷静に淡々とこなすあいつが、、


先代の孫だからか?

それなら俺にとっても同じ理由、だが、

それにしてはーー



郷太の言葉が浮かんだ。

『どうして?なんで一花が気にするの?』

どうしてだ?




角を曲がった。





「一!、、ここか?」


そこに肩で息を吐く一花が立ち止っていた。
道は3方向に分かれていた。


「なぜ家へ帰らなかった、、」

「なんだ?」

「こっちだ」
すぐに一花がそのうちのひとつを指し、踏み出した。

はぁはぁ、息も整えられず、それに続く。

「っくそ」