「花粉症で。ずびび。頭も痛くって。」
マスクの上から鼻が出そうになるのを押さえる。

「入る?よかったら。」

「いや、渡すものがあっただけだから、すぐ行くよ。はい、これ。」

「なに?」
目の前に出されたのは小さな箱だった。
箱に印刷された文字を読む。

「鎮痛剤?、、頭痛薬?なんで今頭痛いってことわか、、ってたの??」
背筋がぞわっとした。
「そんなわけないよ。」軽く笑われてしまう。

「タイミングがよかっただーけ。
これ、一花から渡されたんだよ。なんか七花がこの薬を欲しがってたって聞いたけど?」
郷太のほうこそ、なんで?という顔をしていた。

その時になってやっとあたしは納得がいった。

「あーー、、、あの時の。。」
「どの時?」

「ほら、ずび。あたしが山で高熱出して倒れた時。一花が飲ましてくれたっていう薬。すごく効いたみたいだから、何の薬だったのか、この間聞いてみたの。これなんだー。ずび。」

手のひらに受け取る。おばあちゃんが前会長をしていた製薬会社の名前があった。普通に市販薬に見えた。これなら家にあったかな?

「ちょうどいいかも。飲んでみようかな。ずび。届けてくれてありがとう。」郷太を見上げた。

「普通に飲んでも効かないんじゃない?」

「え?」



郷太が変なことを言った。