笹木さんがトイレに言ってから俺の携帯に着信が入る。
ディスプレイには 幸也 の文字。
画面をスライドさせて着信を取る。
「もしもし?」
《もしもし、陽向ー?》
なんだ急に…?
《どうだ?笹木 菻とは》
幸也は笹木さんの名前を出して聞いてきた。
そう…笹木さんに好きだと言われてから俺は…
幸也に相談した。
昔俺が傷つけてしまったこと…
それは幸也もよくわかってる。
「うんー…なんか笹木さんボーッしてるよ」
ハハッと軽く笑いながらそういう俺に…
《早く陽向が好きって言えばいーだろ?
そうすれば元気になると思うけど?》
幸也はそういうけど…
傷つけた俺が…
「好きだなんて、迷惑だよな」
本当にそう思う。
笹木さんは俺のことが好きだって言ってくれたけど、傷つけたことが引っかかってすぐに返事をすることができなかった。
《はー?
向こうだって好きって言ってんのに今更何言ってんの》
幸也は呆れたような声を出す。
「一体どんな顔して言えばいいかわかんねーし」
俺がそういえば…
《簡単に、ちゅーでもしちゃえばよくね?》
電話越しに笑う声が聞こえる。
………軽い男になれる訳がない…
「そんな馬鹿なこと言うなよ」
にしても笹木さん戻ってくるの少し遅い。