子供の頃のことだとはわかってるし、もう恨んでるとかじゃないけどさ。

 つい恨めしくボヤいちゃっても仕方ないよね?

 ちょっと色素の薄い茶色の髪をかきあげ、浩志がなんとも複雑な顔であさっての方向を見る。

 なによ、空っ惚けるつもりなわけ?




 「悪かったよ。俺もガキだったんだな」

 「…………」




 謝ったよ。

 かなり驚いた。

 ついでに聞いてしまおうか。

 だって、どうしても納得できないでしょ?




 「なんで、あたしに嫌がらせしだしたわけ?…ま、まさか、あたしのことが好きだったとか?」




 少女漫画の王道パターンだよね?

 ちょっとドキドキするかも。

 なのに、は?という顔をされて、




 「ないな」