冬も終わりを迎え、ポカポカ暖かくなってきた季節の頃。


私達1年生は、1年から2年生へとあがろうとしていて、新入生も入ってくる頃で、みんな忙しかった。


「次は・・・」


私は移動教室なので、次の授業の準備をしていた。


「音楽室って遠いいんだよね・・・」


私は、そんな事を1人で呟きながら、廊下を歩く。



入学式の準備で、体育館にいた私たちは違う校舎へと行き、3階に上る。



その移動教室の間が私にはとても辛い。


あたりを見渡すと、


「昨日ねー、彼氏とデートだったんだー!」


「あ、そのストラップ可愛いじゃん!どこで買ったのー?」


など、羨ましい声が聞こえる。


私には、友達がいないから、そんな些細な話も羨ましいの。


私は、小さい頃から臆病で、話しかけられてもあたふたしちゃってて、人とあまり話す機会もなければ、自分から声をかけることも出来ない。


だから、男子からからかわれたり、いじめられることもある。


高校に入学した初めての自己紹介の時もそんな感じだった。


「次、川崎さん。」


「・・・は、はいっ!あ、え、えっと・・・川崎雪姫(かわさきゆき)です・・・い、1年間・・・このクラスのみんなと仲良くなれたらいいなって・・・思ってます・・・。」


恥ずかしくて、うつむいて話してしまった。


みんなと仲良くしたいなんて言ったら、またみんなに変な目で見られるのはわかってる。


けど、それが本当の私の気持ち。


「みんなと仲良くしたい?お前じゃ無理だろー?」


「誰かと話すなんてただのお前の夢、実現なんてできねーよバーカ。」


中学校から同じクラスだった男子が私をからかう。


やっぱり、私はみんなと仲良くなんてできないんだ。


そう、私の夢。