「あ、ありがとよ。い、いつもひでぇことばかりやっててすまなかったな……」




今ごろ場違いな謝罪を乱同はする。



「ごめんな、奥田。許してくれ………………うぅ!」


乱同が再度泣き出す。



よく見ると奥田は笑っていた。


勝利を確信したのだろう。



「俺はおめぇを殺してしまう。頼む。許してくれぇ」



その言葉を言うべき奴は奥田だろう。



その言葉を僕はぐっと心の奥に押し込む。



周りを見ると他の皆もそんな様子でいた。



何かを堪えるような感じだ。




もうこんなことをしているのなら僕達が殺したといってもおかしくない程だろう。



奥田に味方して、乱同を見殺しにしているのだから。




奥田はさっきの乱同の言葉に確信を持てたのか、スイッチを押した。



押したスイッチはグーなどではない。



チョキだ。





「乱同くん。

許すもなにも、僕は幸せだよ。

君のような強く、たくましく、そして純粋な心を持つ人に殺してもらえるのだから。


ありがとう、真」



ここにきて名前を呼び捨てで呼んできた。



親近感とかそういうのを感じさせるものだろう。



これから殺すせめてもの償いのつもりかもしれない。



乱同は周りから怖がられてい、名前を呼び捨てで呼ばれたりなどなかったから。



本当は名前を呼んで欲しかったのかもしれない。



そんな気がしてきた。



乱同は堪えきれなくなった涙をぼろぼろと流しながらスイッチを押した。


何を押したのか見るものはいなかった。


何を押すかなんてもう分かりきっているのだから。




「隼人。俺は絶対に勝ってみせるからよ、あの世で見ててくれよな」




乱同も奥田を名前で呼び捨てにして言う。



「ああ、見てるよ。ずっと見てる」


モニターが光り、


『二人のスイッチが押されました。これから変更はできません。これより結果を発表します』


と、提示された。



その文字を見た奥田がさっきの言葉の続きを乱暴にいい放つ。




「ただしお前がな!!!」




奥田はにやりと笑っている。




乱同は…………………………………………!?



乱同も笑っている!?




まるでその奥田の言葉を知ってい、待っていたかのようにだ。




「は、………………は?何を笑ってんだよ。

ついに気でもくるったのか?

……………………笑ってないで何か言えよ!!!」



奥田は乱同の表情に驚いている。




それはそうだ。


これから死ぬという奴が笑っているのだから。



それも満面の笑みで。


けして奥田が期待していた顔なんかじゃない。



気が狂ったようでもない。




モニターの画面が切り替わった。



奥田はそれにくらいつく。



他の皆もだ。




ただ乱同だけは見なくてもいいというような様子でただ奥田を笑顔で見つめていた。



その様子になんだかとてつもない恐怖を感じた。



怖い。


ただはてしなく怖いのだ。



すぐにこの部屋から出たい。



こいつから離れたい。



そんな気がしてきた。




モニターは真ん中を境にして、

二人がスイッチを押したときの画面と、

その画面の左右の端に選ばれた手段のマークがでていた。




「「「え???」」」




その言葉が何重にも重なって一つの教室に響いた。



そして、一人の悲鳴も…………………………。









ジャンケンタイムでーーーす!✊✌✋!!!





最初はグーーーーーーーーーーーーーーー!





ジャーンケーーーン


























































チョキーーーーーーーーーー!✌