生チョコレートの魔法が解ける前に

「それって……」

 もしかして大輝は麻里との連名“義理チョコ”じゃなくて、私の本命チョコがほしかったってこと?

 目を見開く私を見て、大輝が小さく息を吐いた。

「やっとわかったか。鈍感女め」
「だって! 大輝はいつも私のこと女じゃないみたいに言うから……」
「あれは売り言葉に買い言葉ってやつ。有純だって俺のこと、男として見てない、とか言うくせに」
「だって。そうでもしないと大輝のこと、意識しちゃうんだもん」

 いつも憎まれ口叩き合ってじゃれ合って、ときにビシッとツッコミを入れる大輝のことを男性だと意識したら、触れ合ってしまった手や腕や肩にドキドキしちゃうじゃないの。ドキドキするたびに大輝のことを好きになっていく気がして……私を女扱いしてくれない大輝への想いが積み重ならないようにしてきたのに。

 大輝が手を伸ばして私の頬に触れた。

「俺だって同じだ。有純を女として見てないって自分で自分に言い聞かせてないと、どんどん有純のことを好きになっていく気がしたんだ」
「大輝……」
「あー、なんか柄にもないこと言っちまった」

 言いながらも、大輝の手が私の頬から顎へと滑り降りていく。大きくて少しかさついた手の感触に、私の鼓動が大きくなる。